知的財産の種類

知的財産の種類:

産業財産権

特許権
自然法則を利用した技術的思想の創作(高度)である発明を保護するための権利。
存続期間があり、原則として出願から20年で権利は消滅する。
出願し、審査を経て登録されることにより権利を得ることができる。

実用新案権
自然法則を利用した技術的思想の創作(高度性は要求されない)である考案を保護するための権利。
保護対象は物品の形状、構造又は組み合わせ→方法が該当し、ビジネスモデルや化学物質等は対象外となる。
出願、登録により権利を得ることができ、保護期間は10年間である。

意匠権
意匠(工業デザイン)を保護するための権利。
保護対象は製品のみならず、組物(ティーセットやシステムキッチン)や部分意匠も入る。
保護期間は設定登録(出願からではない)から20年である。

商標権
標章(名称、マーク)等を保護する権利であり、近年、音や色等についても商標権が認められるようになった。
商標を使用する者の業務上の信用の維持を目的としている。
そのため、新規性が権利取得の要件になっていないことに注意を要する。
権利保護期間は出願から10年で、他の産業財産権と異なり更新することができる。

著作権

著作権
著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関する権利。
一言で言うと、「著作物等を勝手に使わせないようにすることができる権利」である。
著作権(狭義)、著作者人格権、著作隣接権等様々な権利があるため、権利の束といわれることがある。
著作権は、登録等を行わなくても創作と同時に権利が発生するものとされ、その存続期間は、個人の場合原則として著作者の存命中及び亡くなった年の次の年の1月1日から50年間となっている(平成30年2月現在)。
しかし存続期間については現在見直しが進められており、一部の国と同様70年に伸張する方向で検討されている。

著作権(狭義)
著作者の財産を守る権利であり、主な権利として以下のものがあげられる。
・複製権(コピーされない権利)
・上演及び演奏権(演奏等実演されない権利)
・上映権(上映されない権利)
・公衆送信権等(送信可能な状態にされない権利)
・口述権(口述されない権利)
・展示権(展示されない権利)
・頒布権(配布等されない権利)
・譲渡権(譲渡(有償無償問わず)されない権利)
・貸与権(貸与されない権利)
・翻訳権、翻案権等(翻訳等されない権利)

著作者人格権
著作者の人格を守る権利であり、以下の3つの権利からなる。
・無断で改変されない権利(同一性保持権)
・無断で公表されない権利(公表権)
・無断で「氏名の表示」を変えられない権利(氏名表示権)
著作者人格権については、存続期間や譲渡という考え方になじまないということから、存続期間は半永久的、譲渡は不可ということになっている。

著作隣接権
実演者又はレコード会社(伝達者)に与えられる権利である。
1年の許諾権と49年の報酬請求権からなる。
権利が著作権(狭義)と比較して弱い反面、創作性が無くても権利が取得できるという特徴がある。

その他の知的財産権

育成者権(種苗法)
農林水産植物(草や樹木、きのこ等)の品種改良を行い、新品種を作り出したものに、一定期間(25~30年)育成者としての権利(排他的独占権)を与えるもの。

肖像権
法令により明文化されているわけではないが、憲法により保護されている肖像権も知的財産権の一種といわれている。
顔認証などが普及し始めた昨今、ホットな話題になる可能性がある。

秘密情報
不正競争防止法により保護される秘密情報も、知的財産権であるといって良いであろう。
顧客名簿、ノウハウ等多くの情報がこれに該当し、管理等に一定の要件が課せられている。
個人情報もここに分類される。